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武道の流派のように様々なスタイルが存在する
ストリートダンスのジャンルの1つ、
『ポッピング(POPPING、POPPIN’)』の中にも、
様々な「スタイル」が存在しています。
武道で言えば「流派」、宗教で言えば「宗派」。こんな感じのイメージです。
重要視している考え方、コンセプトなどによって分かれています。
例えば、同じ「技/ステップ」でも、
「スタイル」が違うと、雰囲気が変わったりします。
一応「スタイル」の条件としては、
①個人ではなく、特定のグループ/ユニットが存在している
②一つのグループ/ユニットだけでなく、シーン全体に影響を与えている
③重要視している考え方、コンセプトが存在している
↑これらを満たしているものを、ここでは「スタイル」と呼ぶことにします。
ただ、自分がダンスをしていくにあたって、
「スタイル」に縛られる必要はありません。基本的には自由です。
既存の「スタイル」に、ドンピシャで相性が合えば、忠実に継承すればいいですし、
各「スタイル」の良い部分を取り入れて、自分だけの「スタイル」も作れます。
それでは、以下より、各種「スタイル」について、
ザックリとご紹介していきたいと思います。
※詳細解説については、別の記事で取り上げていきます。
オールド・スクール:
70~80年代に誕生した「スタイル」
『ポッピング(POPPING、POPPIN’)』の「スタイル」にも、
70~80年代から存在するオールド・スクールと、
90年代以降に誕生した、ニュー・スクールがあります。
まずは、オールド・スクールの「スタイル」をご紹介します。
元々は、アメリカの各地域で、
POPPING/ポッピング、WAVING/ウェービング、TUTTING/タッティングなど、
「技/ステップ」が独立して誕生しましたが、時が経つにつれて、統合/融合していき、
現在は以下のような「スタイル」に分けられています。
●BOOGALOO STYLE/ブガルー・スタイル●
~音との一体化!完璧に体系化された王道スタイル~

伝説のポッピング・チーム「ELECTRIC BOOGALOOS/エレクトリック・ブガルーズ」の中心人物、BOOGALOO SAM/ブガルー・サムによって、1976年に考案されたスタイル。
音楽との一体化、リズムに合わせることを重要視している。
筋肉を弾いたり、体の各部位を別々に動かしたりしながら、
リズムに合わせて即興的に踊るのが特徴。
最近では、「BOOG STYLE/ブーグ・スタイル」とも呼ばれている。
●ANIMATION DANCE/アニメーション・ダンス●
~アニメーションの模倣によって創造された、数々の奇妙な産物~

ダイナメーション技術を使った映画や、カートゥーン・アニメーション、
SFX(特殊撮影技術)映画に登場するキャラクターの、
「不自然な動き」を模倣することによって創り出されたスタイル。
「アニメーション・スタイル」と呼ばれることもある。
「BOOGALOO STYLE/ブガルー・スタイル」のように、
一人のダンサーや、一つのチームによって体系化されたものではなく、
個々のダンサーによって考案されたものが寄せ集められたというイメージ。
●BOPPING STYLE/ボッピング・スタイル●
~古くより伝わるROBOTを、継承・発展させたスタイル~

『ポッピング(POPPING、POPPIN’)』の前身である、
「ロボット・ダンス」を発展させたスタイル。
「ロボット・ダンス」の要素を崩すことなく、
様々な「技/ステップ」を取り入れているのが特徴。
アメリカのダンサー、Boppin Andre/ボッピン・アンドレが中心となって、
このスタイルを普及させている。
●STRUTTING STYLE/ストラッティング・スタイル●
~綿密に計算し尽くされた、不可思議で華麗な群舞スタイル~

ベイ・エリアで発祥した、集団で魅せるダンス・スタイル。
「PT-3000」や「MEDEA SIRKAS」等がその代表的なチーム。
ちなみに、「ELECTRIC BOOGALOOS」とも同時期に活躍している。
ソロで踊る場合もあるが、2人以上の複数ダンサーによる、
不可思議でパズルのような、集団コンビネーションで踊ることが多い。
●BOO-YAA STYLE/ブーヤー・スタイル●
~強烈なHITこそが全て。ギャングスタフリークによる豪傑スタイル~

サモア系アメリカ人による、ハードコア・ヒップホップ・グループ、
「Boo-Yaa T.R.I.B.E./ブーヤー・トライブ」のダンス・スタイル。
彼らだけではなく、ギャングスタ文化を好むダンサーに影響を与えている。
体の筋肉を強く弾く、「HARD HIT/ハード・ヒット」を何よりも重要視。
ゆったりとした動きの多い「BOOGALOO STYLE/ブガルー・スタイル」に対し、
こちらは、イカつくてタイトな動きが中心となっている。
ちなみに、POP N TACO/ポッピン・タコも彼らと交流があり、
お互いに影響を受けていると考えられる。
ニュー・スクール:
90年代以降に誕生した「スタイル」
70年~80年代に誕生した「スタイル」の特徴や、「技/ステップ」を継承しつつ、
様々な文化が融合してできたスタイルです。
『ポッピング(POPPING、POPPIN’)』のカテゴリに入るかどうかについては、
意見が分かれるところではありますが、不思議な動きで魅せるダンス・スタイルということで、
ここでは、ニュー・スクールとして位置付けて、ご紹介させていただきます。
●LIQUID POP/リキッド・ポップ●
~腕と指の動きから生まれる繊細な芸術性。レイブ文化発祥のスタイル~

90年代半ばに、ニューヨークで誕生したダンス・スタイル。
腕をくねらせて様々な形を生み出していく技「LIQUID/リキッド」と、
指をくねらせるようにして、様々な形を生み出していく技「DIGITZ/ディジッツ」を中心に構成されている。
最近では、「DIGITZ/ディジッツ」が単体で発展してきて、新たなムーブメントを起こしてきている。
●TURF DANCE/ターフ・ダンス●
~「HYPHYのリズム」と「不思議な動き」がバランスよく融合したスタイル~

サンフランシスコ、ベイ・エリア発祥。2000年~2005前後に誕生した。
「TURF/ターフ」「TURFIN/ターフィン」とも呼ばれている。
ムーンウォークに代表される「FLOATING/フローティング」を中心に、
「TUTTING/タッティング」や「WAVING/ウェービング」が、バランス良く配合されている。
HYPHY(ハイフィー)と呼ばれる、
ヒップホップ系音楽のムーブメントから誕生したと言われている。
ヒップホップ・ダンス的なリズムに、
『ポッピング(POPPING、POPPIN’)』の要素を、色濃く取り入れたようなイメージ。
●MEMPHIS JOOKIN/メンフィス・ジューキン●
~「ギャングスタ・ウォーキン」と滑らかな足技が融合した新スタイル~

元々、80年代からメンフィスに存在していた、
「ギャングスタ・ウォーキン」というダンス・スタイルに、
「FLOATING/フローティング」などの、
『ANIMATION DANCE/アニメーション・ダンス』の要素を取り入れたもの。
2000年~2005前後に誕生したと言われている。
上記の『TURFIN/ターフィン』に近い印象もあるが、
より「足の動き」を重視したものとなっている。
「アーバン・バレエ」とも呼ばれるだけあって、つま先を駆使した技が多い。
●BROOKLYN FLEXING/ブルックリン・フレキシング●
~見る者を驚愕させる、関節の柔軟性をフル活用したスタイル~

ブルックリン発祥。2000年~2005前後に誕生したと言われている。
「FLEXING STYLE/フレキシング・スタイル」とも呼ばれている。
関節を外したような、軟体系の動きを中心としたスタイル。
加えて、手技である「TUTTING/タッティング」や「WAVING/ウェービング」、
移動手段として「FLOATING/フローティング」が頻繁に使われている。
オマケ。リズム重視か、不思議な動き重視か
人によっては、『ポッピング(POPPING、POPPIN’)』の「スタイル」を、
BOOGALOO/ブガルー=リズム重視
ANIMATION/アニメーション=不思議な動き重視
の2つだけで大きく分けている場合もあります。
もっと簡単に言い換えると、
よりダンスっぽいのが、BOOGALOO/ブガルー。
よりパントマイムっぽいのが、ANIMATION/アニメーション。
といった分け方です。
※中には、ブガルー以外は、全てアニメーションという、極端な人もいます。
当サイトでは、先ほどのように、細やかに分類していますが、
リズム重視か、不思議な動き重視かで分けると、以下のような感じになります。

- BOOGALOO STYLE/ブガルー・スタイル
- STRUTTING STYLE/ストラッティング・スタイル
- BOO-YAA STYLE/ブーヤー・スタイル
- TURF DANCE/ターフ・ダンス

- ANIMATION DANCE/アニメーション・ダンス
- BOPPING STYLE/ボッピング・スタイル
- LIQUID POP/リキッド・ポップ
- MEMPHIS JOOKIN/メンフィス・ジューキン
- BROOKLYN FLEXING/ブルックリン・フレキシング
↑無理矢理、おおざっぱに分けるとこんな感じです。
以上、参考になりましたら幸いです。